京都大学医学部附属病院は、新しい末梢神経再生治療法の開発に世界で初めて成功しました。
このプロジェクトには、先端理学療法学講座の青山朋樹 教授が参画しています。
写真.記者会見の様子(一番右側に青山教授)
今まで末梢神経が大きく損傷してしまった際の治療では、自分の体から健康な神経を取って、患部に移植する方法が一般的でした。これを自家神経移植と言います。
しかしながら、この方法では自分の神経を犠牲にしなければならないため、人工神経の開発が進められていました。
しかし、人工神経はまだ自家神経移植より効果が良くないため、一般的ではありませんでした。
そこで、バイオ3Dプリンタを使って、細胞だけで作られた三次元神経導管を移植する治療法が開発されました。
これは、自家神経移植と同じくらい効果があることが基礎研究によってわかっています。
写真.バイオ3Dプリンタで作製された三次元神経導管
患者さんの皮膚から線維芽細胞を取り、バイオ3Dプリンタで三次元神経導管を作りました。
3人の患者さんにこの新しい三次元神経導管を移植し、1年間観察した結果、すべての患者さんで感覚神経の回復が認められ、機能的にも良好な経過をたどっています。
副作用などの問題はありませんでした。
研究の詳細は、第96回日本整形外科学会学術集会(2023年5月11日~14日、パシフィコ横浜にて開催)で発表される予定です。
今後は、この新しい治療法を実用化するために、株式会社サイフューズ主導のもと、さらなる研究と開発が進められます。
今後も注目が集まる技術の一つであり、患者さんの生活の質を向上させることが期待されます。
詳細は次の京都大学医学部附属病院ホームページ(リンク)をご覧ください。